ノースショアに刺繍工場!?初めてこの情報を入手したときは驚きが隠せなかった。しかもノースショアの中心地、ハレイワタウンにあると言うからなおさらだ。実際の場所はハレイワタウンにあるノースショアマーケットプレイスから脇道に入ってすぐ。脇道に入るだけで、カントリーを感じさせる自然豊かで静かな住宅街の中に刺繍工場はあった。
自宅兼工場にお邪魔すると、所狭しと刺繍マシーンが数台置かれていた。オーナーはワシントン・テイグゼイラさんと妻のチャーリーさん。ブラジル人のワシントンさんは、サンパウロで国際ボディーボード大会のオーガナイザーなどを勤める傍ら、ファミリービジネスだった刺繍工場を12年以上稼働させ、その後2008年に刺繍機を持ってハワイ、ノースショアへ移住。ハワイで刺繍ビジネスをスタートさせた。
チャーリーさんは韓国生まれアメリカ本土育ち。グラフィックデザインのバックグラウンドを持ち、ワシントンさんと出会う前は、名門イオラニスクールで歴史の教師をしていたそうだ。そしてワシントンさんと結婚後、ノースショア・エンブロイダリーの共同オーナーとして主にビジネスやマーケティングを担当している。
ノースショアのコミュニティーに根付いたノースショア・エンブロイダリーは、様々な企業、団体、個人のためにカスタムオーダーの刺繍を一手に請け負っている。また、Route 99(ルート99)という刺繍を施したキャップブランドを立ち上げ、こちらもハワイのショップやホールフーズマーケットなどで展開中だ。
ルート99とは、ハワイで運転をしたことのある人ならピンと来るかもしれないが、ノースショアへ続くカメハメハ・ハイウェイのことだ。ノースショアを拠点に活動するワシントンさんとチャーリーさんにとって、ルート99というブランド名を名付けることはごく自然のことだった。スワップミートから始めたルート99は、ローカルファンを獲得し続け、多くのショップで取り扱われるブランドへと成長。
もともとブラジルとアメリカ本土から移住してきた二人だが、すっかりノースショアのコミュニティーに根付いていた。『ノースショアの人たちはナチュラルでとても温かい。ノースショアが今は私たちの故郷とも言える。とても幸せよ』と、チャーリーさんが笑顔で語ってくれた。チャーリーさんとハレイワタウンを散策していたら、あの超有名なワイランド・ギャラリーのオーナーも笑顔でチャーリーさんに挨拶。なんとワイランド・ギャラリーも、ノースショア・エンブロイダリーの顧客なのだそうだ!
コミュニティーとの関係を大事にする二人だからこそ、ハワイで活動している非営利団体でのボランティアにも従事している。正直なビジネスをすることを心がけ、セットアップフィーなどを取らず明朗会計でビジネスをしているのだそうだ。ALOHAの気持ちを沢山注いで作られるルート99のキャップは、最近ではローカルビジネスと様々なコラボレーションも精力的にこなしている。今後のルート99の動向にも注目していきたい。